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ユウキ提供「フットバランス&健康コラム」Vol.1

浮指の基礎知識と対策

コラム担当:秋元接骨院院長・柔道整復師・フットアジャストセラピスト  秋元 英俊
画像提供元:笠原接骨院 笠原 巌、有限会社ユウキ、秋元接骨院
参考、引用文献:過労性構造体医学(笠原 巌 著)、いま子供たちの足の裏が危ない(阿久根 英昭 著)、拇指内向ー子どもの足があぶない(原田 碩三 著)
参照ホームページ:用田接骨院Foot Health Lab

 浮指(うきゆび)の基礎知識と症状

笠原巌所蔵ハンマートゥ画像1 笠原巌所蔵ハンマートゥ画像2
浮指(うきゆび)は、テレビの健康関連番組や、インターネットなどで、かなり以前より取り上げられているのでご存知の方も多いと思います。文字通り足指が浮き上がりしっかり接地しない、あるいは接地できない状態をいいます。この浮指ということばをメディアを介して広めたのは体育学の権威で桜美林大学健康心理学科・人間科学教授の阿久根 英昭(あくねひであき)先生です。阿久根先生は、幼稚園や保育園の子どもの足の調査をされた中で、足の発育について着目し、活発な子どもと活発で無い子どもの足の比較により、足の発育が十分では無い子どもの足の重心がカカト寄りで、足のアーチの発達が悪く偏平足、あるいは偏平足とまで言えなくても足のアーチが不足していることを調査結果としてまとめています。
足のアーチが不足している子どもは、重心がカカト寄りであり、足指でしっかり踏ん張ったり、指先を使って蹴りだす動作が弱くなっていて、活発な子どもよりも足指が浮いている状態であると表現されています。
また、教育学の権威、兵庫教育大学名誉教授・體研究所所長の原田 碩三(はらだ せきそう)先生は、子どもの足と健康を研究されている中で、母趾内向(ぼしないこう)や偏平足の子どもが増えている点を指摘し、子どもの足の発育の重要性を訴え、後に子どもの浮指が増えていることをデータで示されています。原田先生が示される拇指内向とは、医学的には外反母趾のことで、足の中心に向かって曲がっているために内向という表現をされたようです。
お二人とも1970年代より研究を始められ、原田先生は1985年に「拇指内向〜子供の足があぶない」を出版、阿久根先生は1988年に「いま子供たちの足裏が危ない」を出版されています。お二人ともにその中で子どもの足の発育不足について触れられています。
この浮指は子どもばかりではなく成人にも多く見られ、年齢が高くなるに連れて浮指の状態で関節が固まり、改善が難しくなる傾向も観察されます。このページでは浮指について、その基礎知識と対策を解説します。

 浮指の基礎知識

浮指は立っているときや歩いているときに足指が接地しない状態をいいます。この浮指には特定の指だけが浮き上がる場合から、全ての指が接地せずに浮き上がる場合まで様々な症例があります。また、浮指は病名ではありません。現に整形外科学会のホームページの傷病検索には掲載されておらず、私が見た限りの医学書にも記載がありません。あくまでも足指が浮き上がる現象、あるいは症状を意味しています。しかし、浮指を調べていくと現代の社会構造や生活習慣の弊害による一つの疾患、もしくは症候群として捉えるべきものではないかと思わされるほどの衝撃を覚えます。
浮指の弊害などを警鐘されている主だった先生方は、上記の通り教育学専門の原田先生、体育学・人間科学専門の阿久根先生、その他では柔道整復師の笠原 巌先生で、私の知る限りでは医師の資格を持った先生で浮指を専門的に研究されている方はいません。従って、浮指の定義、検査・診断方法、治療方法は学術的にきちんと確立されておらず、その対処法も統計学的、あるいは経験的に有効な手段が推奨されている状態となっています。では、具体的に浮指はどのような状態なのかをここで見ていきます。

 浮指の症状

浮指は上述の通り足指がしっかり接地せず浮いた状態を呈します。最初に示した画像は足指が縮こまるように上方へ持ち上がるハンマートゥと呼ばれる障害です。余談ですが、このように極端な例では全ての足指が浮き上がり、足の土台としての機能が著しく損なわれるため、カラダの重心バランスが不安定となります。足の土台としての機能不足が有るとカラダの安定性を保とうとして「すね」、「もも」、「骨盤」、「背中」、「首」など、カラダの姿勢を保つ足以外の部分に必要以上の力が入ります。そのために肩こりや疲労感、骨盤やももの痛みなどを起こす症例も見られます。また、成長期に発症する突発性側湾症を生じた子どもは、足の重心バランスに大きな左右差や浮指を生じていることを阿久根先生の調査や笠原 巌先生の診察データーで示されています。さらに、アレルギーなどの免疫力の低下が見られる子どもや、生活習慣病が見られる子どものほとんどに浮指や足裏のアーチ不足があることを阿久根先生と笠原先生がフットプリントなどの症例データーで示されています。
浮指はハンマートゥのような極端な症例ばかりでは無く、例えば外反母趾に伴い親指(母趾)だけ浮く症例、あるいは手指で言うところの人差し指にあたる2趾(示趾)が浮く例、開張足(かいちょうそく)やモートン病で見られる2趾〜4趾が浮く例、内反小趾や内反足で見られる小趾(しょうし:足の小指)が浮く例など様々です。また、特別に足の障害が無く見た目にもほぼ普通に見えるのに足指がわずかに浮き上がり、足指で踏ん張る、あるいは歩行時に足指で蹴る動作が非常に弱くなっている症例もあります。この様に、足に何らかの機能異常や疾患がある場合、あるいは足のアーチ不足や重心点がカカト寄りである場合は、それら全ての足に浮指の症状があることになります。

秋元接骨院フットプリント1
秋元接骨院フットプリント2

上の2枚のフットプリントは、足指を比較的しっかり使っていて足のアーチ形成も正常な方のプリントです。1枚目の左足だけのプリントの方は、母指に角質層ができており、その部分が濃くプリントされていますが、その他の部分は圧力配分が比較的均等で、歩き方にも推進力があり、良好な歩行状態でした。2枚目の両足のプリントの方は、腰痛と肩・背中の痛みで来院された方で、全体的に右方向に圧力が掛かっているため、左足の小指がやや浮指ぎみではあるものの、歩き方を観察すると比較的足全体を使って良好な歩行をしている状態でした。
現実として、先進国や欧米的生活習慣の環境にある方で、靴を履く時間が長い生活様式の場合、理想的な足の機能を発揮した人は中々見られないのが現状です。例えば、柔道の中量級以下の選手、体操の選手、空手の選手など裸足のスポーツを子どもの頃から親しんでいる人は、しっかりした足のアーチが形成されており、足本来の機能が十分発揮できていますが、一般的に足の使い方が上手と言える方でも、完璧といえる足の使い方ができている人はかなり少ないと言えます。

インドネシアの裸足で歩く人のフットプリント

上の画像は、笠原 巌先生が理想的な足とバランスの悪い足の違いを研究する中で、インドネシアへ調査に行かれた時のフットプリント画像です。これが、本来の足の使い方の理想です。先ほどの比較的良好な歩行の人のプリントも、このフットプリントと比べてしまうと、いわゆる文明的な生活をしている我々は、如何に足が衰えているかが明確に示されたといえます。

浮指のフットプリント1
浮指・偏平足のフットプリント

浮指のフットプリント2
浮指のフットプリント3

上の4枚のフットプリントは、外反母趾や偏平足、内反小趾などの足のトラブルを訴えて来院された患者のフットプリントです。どれも明らかに足指が浮いているのが分かると思います。

浮指画像1
浮指画像2

浮指画像3
浮指画像4

上の4枚の画像を見ると、足の指の付け根にあたる中足部分よりも足指が上に浮き上がっているのが分かります。このような足をしていると、立っているときは重心がカカト寄りになり、足で踏ん張る力が弱いので首、背中、腰、脚部など他の部分に、無意識に余計な力を入れてカラダのバランスを取ろうとします。従って、その負担が肩こりや腰痛など原因のはっきりしない慢性痛を起こしています。

 浮指の発生幾転

浮指は足の生活習慣病といえます。特に骨格の基盤を形成する幼児期は浮指を発症する重要な分岐点となります。
自立歩行を始める1歳時から徐々に足のアーチが形成され始めます。そして歩行が安定し、力強く駆け回ることができるようになる3歳〜6歳の間に足のアーチが著しく成長します。従って、この3歳〜6歳の間が非常に重要な時期となります。この時期に、足指の動きを抑制するような靴を履かせたり、外は危険だからと家の中で閉じこもるような生活を続けていると、足のアーチの形成が悪くなり、浮指を発症します。この点については、阿久根先生、笠原先生、原田先生の調査やデーターから明確となっています。
幼児期を過ぎてからも浮指を発症する危険はたくさん潜んでいます。「合わない靴を履き続ける」、「靴下で足の指先の自由度を抑制する」、「車や自転車など乗り物の活用が多く自分の足で歩く時間が非常に少ない」、「家の中で裸足で歩くことがほとんど無い」など、この様な環境にある場合は浮指を発症する危険度が非常に高いといえます。特に「合わない靴を履き続ける」ことは、浮指予防の大敵です。つま先が細くて足指の動きが抑制される靴はもちろん「靴が小さい」、「靴が大きい」なども浮指発症の原因になります。靴が小さければ足指はつま先に押し付けられて縮こまった状態になるのは想像できると思います。一方で靴が大きくても、歩いているうちに足は靴の中でつま先方向にずれていき、カカトがブカブカと隙間が空いた状態となります。即ち、足指は靴先に押し付けられて縮こまった状態となります。この様な状態を毎日繰り返していると、足指で踏ん張る力が弱まり、足指でグーを作るように握る動作もできなくなります。

フィットした靴の足指
合わない靴の足指

 浮指の改善方法

浮指を改善するのは一朝一夕で出来ることではありません。生活環境の改善をして時間を掛けて足指の使い方をリハビリする必要があります。まずは、靴をフィットしたものに変えることと、足に負担の掛かるパンプスや先の尖った革靴は極力履かないことが大前提です。また、家のなかでは、裸足もしくはせめて5本指の靴下などで足指がしっかり使える環境にすることです。
衰えた足指の筋力を回復することも必要です。いわゆるタオルギャザーや足指ジャンケンなどは有効なリハビリになります。阿久根先生は手押し相撲、足指での鉛筆つかみ、足指綱引きなどの足のリハビリを書籍などで推奨しています。これらの運動は足の踏ん張る力が強くなる非常に有効なリハビリとなります。

浮指のリハビリ1
浮指のリハビリ2

浮指のリハビリ3
ピエシェリ5本指靴下

タオルギャザー

タオルギャザーは、立ったまま、あるいは椅子に座った姿勢でバスタオルなどやや大き目のタオルを足元に置き、足指を使ってタオルを手繰り寄せる運動をすることをいいます。この時にカカトは床につけたままとし、タオルの端の方から反対の端まで足指を握り開きしながら手繰り寄せてください。この動作により足指の関節可動性が改善され、足指を動かす筋肉が鍛えられます。特にタオルギャザーによるリハビリは、足のアーチを支える筋肉を刺激する効果があり、偏平足や開張足に伴う浮指にお勧めの運動です。

裸足で行う足裏刺激

その他浮指の改善として、足裏や足指の筋肉を回復するために砂利道や砂浜を裸足で歩くなどの刺激も非常に有効なリハビリです。神奈川県藤沢市の用田接骨院渡辺英一先生生は、過去にじゃりみちくんという砂利道歩行運動ができるリハビリ用具を開発して効果をあげていました。今でも足の研究をされており、靴の足底板の作成や足の健康指導などをされています。足裏や足指をしっかり使って地道にリハビリすることが浮指改善にはとても大切なことといえます。
裸足で、砂利道や砂浜を歩くと足裏の筋肉が刺激されて、地面をつかむような運動が促進されます。地面をつかむ動作をする筋肉を鍛えると立っているときの安定性が向上し、歩行時は足指までしっかり使うことができるようになります。また、それらの筋肉を鍛えることは、足のアーチを支え、足本来の衝撃緩衝力や反発力を高めることに繋がります。

浮指改善・予防のための靴選び

日常履く靴も足の健康を重視したものに変えなけらばなりません。接客など仕方がないとき以外はウォーキングシューズやコンフォートシューズを利用するようにしましょう。また、ウォーキングシューズやコンフォートシューズであっても、自分の足にフィットしたものでなければ意味がありません。
足指に自由度があり、足にフィットした靴を選ぶのは案外難しい作業です。仕事や通勤・通学、スポーツやその他の生活環境により、靴の選択はある程度制限されることもあるでしょう。
靴を選ぶときは、先ず足の長さ(足長)や幅(足幅あるいは足囲)を測ります。
足長は、足の長さのプラス1〜1.5cmが適性サイズです。また、測った足幅と足長に対して適性の靴のサイズの基準が決められています。例えば女性用のサイズでは、足長23.0cm、足幅9.4cm(足囲ならば22.8cm)の場合、適正の靴は24cmのD、E、EEの何れか、もしくは24.5cmのDかEとなります。この様な靴のサイズの早見表は靴を販売している店舗やインターネット上でも掲載されています。尚、靴を購入するときに、できればシューフィッターなどの専門家に足のサイズと靴の適性を見てもらうのが良いでしょう。
靴の試し履きの際には、靴の履き口が緩みが無くフィットしていることと、足指の先に1〜1.5cmの余裕があることが目安です。また、カカトを包む部分にヒールカウンター(月形)と呼ばれる支えがあって型くずれしにくい構造であることも大切な要素です。靴のカカトを包む部分を触ると固い芯のようなものが入っているのが分かります。このヒールカウンターが無い靴だと靴の片崩れが起こりやすく足や足関節などに悪影響を及ぼすので注意してください。
そして、試し履きのときに靴を履いたまま少し歩かせてもらうか、その場で若干踏み込む動作をしてください。その時に部分的に当たる違和感が無いか、足指が自由に使えるか、足が靴の中で前に滑って足指が靴先に押しつけられることが無いか、カカトの隙間が多くて脱げやすくないかなどをチェックしてください。
靴のサイズが適していると、歩行バランスが良くなり浮指の改善につながります。

浮指改善をサポートする装具

浮指の場合、そのほとんどが足のヨコアーチの偏平化を生じています。そこでこの偏平化したヨコアーチを強制的に持ち上げた状態にすることで、浮き上がった足指を地面に接地しやすい形に矯正する装具があります。
装具には、サポータータイプ、インソールや足底板タイプなどがあります。
足には、内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチの3つのアーチがあります。

骨格で見る足のアーチ1
骨格で見る足のアーチ2

足の骨格の骨格を上から見た図
骨格で見る足のアーチ3

浮指を生じていると、正常な足の横アーチと比べてアーチの偏平化、もしくは浮指が著しければ逆アーチ化します。
横アーチが偏平化すると足のクッション機能が損なわれ、足指の付け根の裏側などにタコやウオノメなどの角質層ができて痛みを生じたり、足指の感覚神経を司る固有足底神経が圧迫されて、足指や足指の付け根のしびれや痛みなどの症状を起こすこともあります。この様な症状を起こした場合、医学的には2〜4指に生じたものをモートン神経症と診断し、第1指(母指)に生じた場合を外反母趾やバニオン、第5指(小指)に生じた場合を内反小趾(ないはんしょうし)やバニオネットと診断されます。
浮指改善をサポートする装具の主な目的は、浮指を生じた原因疾患の症状緩和や矯正、または浮指により生じた痺れや痛みなどの症状緩和となります。

正常な足の横アーチ
浮指・開張足のアーチ偏平化

偏平化した足の横アーチを再構築する装具としては、DSISパッドを内蔵したインソールやサポーター、あるいは偏平化し横に広がった足の横アーチをサポーターの伸縮機能で引き締めて中足底面にクッションパッドが内蔵されたサポーターなどが有効です。

※ DSIS(Dynamic Shoe Insole System ダイナミック・シュー・インソール・システム)
NPO法人オーソティックスソサエティーが考案した「DSIS」は、人の足の動きをこの中敷きで調節し、足裏にある「3つのアーチ」をサポートすることが基本となっています。これにより足の姿勢が改善され、足指がしっかり使えるようになり、歩行がリズミカルで足が疲れにくい動きに調整されます。
DSISやNPO法人オーソティックスソサエティーに関する詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

開張足・モートン病の神経損傷理由
横アーチを支持する中足パッドの効果

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