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ユウキ提供「フットバランス&健康コラム」Vol.5

外反母趾の見方と鑑別方法

コラム担当:秋元接骨院院長・柔道整復師・
フットアジャストセラピスト  秋元 英俊
画像提供・参照元:笠原接骨院 笠原 巌、秋元接骨院
※画像や内容の無断転用を禁じます。

外反母趾は非常に多く見られる足の母趾の変形です。特にその母趾の付け根に痛みが起こることが最も知られている症状です。但し、外反母趾では無くても母趾の付け根に痛みが出たり、母趾が変形する別の疾患もあります。
整形外科で外反母趾なのか、あるいは別の疾患なのかを診断して頂くのが一番大切なことですが、自分でもある程度の知識を得ておくことも、誤った判断を防ぐことに繋がります。
このページでは、外反母趾の判断基準と、外反母趾と類似した疾患との鑑別について、その基礎情報を掲載します。

外反母趾の概要と基準

足の親指(母趾)が足の小指(小趾)の方に向かって曲がってしまう変形性の障害を外反母趾といいます。 ちなみに外反とは、身体の中心から見て外側に反る状態をいい、その逆に身体の中心方向に反るのは内反といいます。
外反母趾になると、母趾の付け根の痛み、足裏の痛み、足趾の付け根の間の痛み、足趾の痺れなど様々な症状が、単独であるいは複数出現します。また、素足の時はこれらの症状が無くても、靴やストッキングなどを履くと症状が現れるタイプの方もいます。
外反母趾の発症割合は圧倒的に女性に多く、特にパンプスなどのように先の細い靴やヒールの高い靴、あるいは足にフィットしていない靴を無理に履き続ける方に発症確率が高くなっています。
外反母趾の判定は、母趾の外反の程度を角度により表して行います。この角度のことを外反母趾角(HVA)といいます。外反母趾角が15度以上の場合外反母趾と判定されます。

足の骨格略図
正常な足と外反母趾の骨格比較略図

外反母趾の測り方1
外反母趾角(HVA)による分類
 正常値  HV角9〜15゚
 軽度の外反母趾  HV角16゚〜20゚
 中程度の外反母趾  HV角20゚〜40゚
 重度の外反母趾  HV角40゚以上
外反母趾の測り方2

外反母趾の類似疾患

母趾の付け根に痛みや腫れ、変形を生ずる疾患は外反母趾ばかりではありません。これらの疾患は単独で、あるいは外反母趾と合併して起こることもあるので、専門外の方には外反母趾と区別で着ない場合がほとんどです。しかし、適切な治療や対処法を決定する上で、鑑別診断は必須です。
ここでは、外反母趾を除き母趾の付け根に生ずる疾患で比較的多く見られるものを以下に掲載します。

バニオン(第1中足骨頭部皮下滑液包炎)

滑液嚢炎(かつえきのうえん)、あるいは腱膜瘤(けんまくりゅう)とも呼ばれることがある、第1中足骨頭部に起こる皮下滑液包(ひかかつえきほう)の炎症です。そのほとんどは靴などの履きものに擦れる刺激で炎症を発症します。従って履物で擦れやすい外反母趾を生じている方に多く起こる炎症ですが、外反母趾では無くても、 窮屈な靴や形状の合わない靴を履いた結果発症することがあります。
炎症のピークでは痛みが強く、発赤と腫れが顕著となり、安静時でもズキズキ痛むことがあります。
応急処置では、患部が擦れたり、当って痛む履物は避け、消炎剤の塗布や湿布剤などの貼付が有効です。
一度治っても繰り返し発症するようであれば、 シューフィッターなどの専門家による靴のフィッティングや足底板の処方などで 大概は改善されます。尚、痛風の経験がある方、尿酸値の高い方、腎臓疾患の経験がある方などは痛風発作との鑑別を要するので、痛みがあまりにも強い場合は整形外科や内科の診察と検査を受けてください。

バニオンの症例

痛風(つうふう)

痛風は、尿酸代謝の異常により尿酸ナトリウムの結晶が沈着して起こる結晶誘発性関節炎です。痛風発作の発症初期は母趾の付け根に発赤や腫れが起こるため、外反母趾やバニオンと区別しにくく鑑別診断を要します。
痛風は男性に多く、女性は特別な疾患が無い限り閉経期以降にならないと見られることがありません。
痛風の疼痛は突然に発症し、急激に強い症状が現れる傾向があり、発赤、腫脹、疼痛、熱感といった症状が出現します。初発症状は数日で軽減し、3週程度でほとんど消失しますが、そのまま放置していると発作を繰り返し、他の関節にも現れるようになります。
腎臓疾患、尿管結石、高尿酸血症などの診断を受けたことがある方は、まず先にこの疾患を疑うべきと考えます。  治療は内科が専門で、抗炎症剤の投与や血中尿酸値のコントロールなどが施行されます。


母趾種子骨障害 (ぼししゅしこつしょうがい)

第1中足骨頭の足底面に二つの種子骨があります。この種子骨が骨折や関節症などで痛みや炎症を生ずるものを総称して母趾種子骨障害といいます。
痛みや炎症は、母趾の付け根の裏側に起こり、歩行やランニング時の踏み返し動作や、つま先立ちのような姿勢で強い疼痛が誘発されます。 診察においても、母趾を他動的に背屈(上に反り返すように曲げる)することで疼痛を誘発し、母趾の付け根を浮かすような歩行が観察されます。

母趾底側の種子骨の正常位置略図
母趾の可動域測定

原因は、種子骨が外傷により骨折を生じたもの、スポーツによる疲労骨折や関節症、二分種子骨、無腐性壊死など様々な要因が認められています。一般的に、骨折や疲労骨折の外傷と、その他の原因による種子骨炎とで分けて診断され、治療法が選択されます。

右足の内側から種子骨を見た略図
変形性関節症由来の種子骨障害

種子骨障害の症例

治療は、安静・固定と消炎剤の投与が基本で、その他に足底板や靴の指導などで経過を見ます。経過が悪いようであれば、整形外科にて種子骨の摘出手術を施行することもあります。
この種子骨障害は内側の種子骨に多く、原因として以下のようなものが挙げられます。

1.外側種子骨よりも内側種子骨の方が中足骨の中心に近い側に位置し、荷重による影響を受けやすい。

2.一般的に外側種子骨よりも内側種子骨の方が大きいため 、外力の影響を受けやすい。

などが言われています。また、外反母趾や開張足 (かいちょうそく)などにより、内側種子骨が外方へ偏位し、第1中足骨の骨頭下に移動ている場合に発症しやすい傾向があります。この場合は外反母趾や開張足の矯正を合わせて行う必要があります。


ターフトゥ(Turf toe)

ターフトゥの発生幾転

第1MTP関節(母趾の付け根の関節)の過伸展(過背屈)捻挫により起こる、靱帯・関節包の損傷をいいます。アメリカンフットボール中の損傷が最も多く、その他にトラック競技中の損傷なども見られます。尚、ターフトゥとは逆に第1MTP関節の過屈曲(過底屈)捻挫により起こった場合を「 リバーシドターフトゥ(reversed turf toe)」といい、こちらは 体操競技や柔道など裸足で行う競技に多く見られます。
ターフトゥは、主に人口芝を敷いた硬いグラウンドでフットボールなどを行う際に、底の柔らかく軽い靴を使用した競技中に母趾を過伸展して発生します。
軽症のものは単純な捻挫で、テーピングや包帯固定により10日〜2週間安静にすれば完治します。
重度の損傷で靱帯断裂や関節包断裂、種子骨損傷などを生ずると、激痛のために歩行困難となります。この場合損傷程度により3〜8週の固定を要します。また、損傷を繰り返す反復性(習慣性)のものでは、底の硬い靴に換えるなどの対応も重要になります。
保存療法で症状が改善されない場合は、靱帯修復術や種子骨摘出術などの手術が検討されます。
尚、軽症のものや、反復性、あるいは慢性的な疼痛を生じているものでは、外反母趾による疼痛との鑑別を要するケースがあります。


強剛母趾( きょうごうぼし、強直母趾、hallux rigidus)

母趾MTP関節(母趾の付け根の関節)の疼痛、腫脹、可動域制限、骨性隆起、伸展(背屈)制限などの症状を生ずる関節症です。
腫脹はMTP関節全周にわたり、骨性隆起はMTP背側に最も膨隆する特徴があります。
母趾の付け根の骨が膨隆するため外反母趾として見間違った判断をされることもありますが、外反母趾の合併が無ければ母趾外反角(HVA)の変化は起こりません。また、強剛母趾では母趾MTPの背側に骨性隆起を形成しますが、外反母趾の場合、骨性隆起や腫脹がMTPの内側に顕著に現れることから、強剛母趾との鑑別ポイントになります。
症状が進行すると関節可動域が減少し、特に伸展制限が顕著に現れます。従って、歩行時の蹴り返し時に疼痛が誘発され、歩行に支障を来します。
レントゲンやエコーによる観察では、母趾基節骨の背側にトゲ状に小さく隆起した骨棘(こつきょく)や、中足骨頭の背側の骨隆起、関節水腫(いわゆる水が溜まった状態)などが見られます。

強剛母趾の病態

強剛母趾の治療は、痛みの予防や病状の進行を防ぐために、シャンク(靴底の中心にある芯)が硬く、踏み返しの時にあまり母趾MTPが背屈を強制されない靴を履くように指導されます。ヒールが高い靴は母趾の背屈が強いられるため、症状改善のためには避けるようにする必要があります。また、整形外科によるアルツディスポなどのヒアルロン酸注射も有効です。これら保存療法で症状が改善されない場合は手術療法が施行されることもあります。手術は骨切り術、関節固定術、人工関節置換術などが有りますが、患者の生活条件や病状になどにより手術方法が選択されます。
この疾患は膝などに見られる変形性関節症と同様に、関節軟骨が破壊され、関節下骨(かんせつかこつ:関節軟骨直下の骨組織)の変性を起し、放置すれば病状は徐々に進行していきます。従ってできる限り早期の処置が重要となります。

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新着情報
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